スピード違反を取り締まれ!

31回目を数えた「多摩川クラシコ」。
両クラブが全力でPRを行ない、サポーターや運営サイドは試合を盛り上げ、選手たちは死闘を繰り広げる。
東京VがJ2に降格してから長らくの間は「東京ダービー」が開催されていない。その分、こうした「伝統的な一戦」「ライバルチームによる対決」はより一層燃えるものだ。

GWの真っ只中でチケットは完売。
2位につける東京と4位につける川崎、勝敗によっては順位が入れ替わる可能性があった大一番である。

試合背景として「矛×盾」がぶつかり合うという番記者による多くのマッチプレビューを目にしたものだが、その通りで例年にあった構図は完全に破綻していたように映った。
"守備の東京と攻撃の川崎"ではなく、"攻撃の東京と守備の川崎"。これこそが今季の両者を端的に表した構図であるとの見方も取れる。実際に試合展開で見ても東京は攻守で圧倒した。

コンディショニングが厳しいのは言わずもがなであるが、固定化されつつある東京のスタメンはこの日も大きな変更はなし(強いて言えば、大森は今季初めて先発から外れた)。
役割が明確化され、ハードワークを厭わない選手たちが監督に選ばれている。

川崎戦でも相手を撹乱させたのは強力2トップだった。永井謙佑とディエゴオリヴェイラである。それぞれが確かな特長を持ち、ゴールに迫る。「怖い」存在であるはずだ。
苦しい時間帯に前に蹴れば彼らは走り、収めて少ない人数でゴールに迫ることができる。はっきり言えば依存気味ではあるが、他のチームがこの2人の対策を立てようとしても相当ハードルの高いミッションであると思う。彼らに警戒してラインを低く保てば、高萩や橋本らで主導権を握れる。
各選手の良さを存分に生かし、尚且つチーム戦略として「ファストブレイク」を狙う。非常に明確な戦い方である。
2トップははっきり言って「スピード違反」だ。特に永井は止められない。いまの東京の最大の強みでもある。そして、彼は足がつるまで走る。

 かつては流動的なパスサッカーを展開し、渡邉千真や長谷川アーリアジャスール、ルーカスらが絡んでゴールを奪う「ポポトーキョー」、あるいは強固な守備ブロックから確実にカウンターで得点を奪っては守りきる「マッシモトーキョー」...

今までは、はっきり言えば「面白く勝てない」のか「勝てるが面白みに欠ける」のか、どちらかを選べという問いに直面してきたような気がする。
しかし、今年の長谷川東京は「面白く勝てる」のである。これは非常にポジティブな要素だ。

当然、いつ失速するかどうかは分からない。怪我人が続出したりと予期せぬ事態が起こる可能性も否めないが、前半戦を無類の強さを誇る広島に次いで2位をキープする底力は紛れも無い総合力の高さだ。

昨年からはそれほどメンバーも変わっておらず、個性的なタレントが揃う中で躍動する東京。ヒョンスの不在を埋めるキャプテン橋本も著しく成長している。
そして、元東京の選手たちと対戦し、勝って帰るこの感覚は素晴らしいものがある。


全員の力であると強調したいし、いくつも明るい話題はあるが隙を作ってはいけない。あくまで目標はリーグ制覇だ。
ひとまずは中断期間までの残り数試合、高速2トップにリードされながら突っ走ってほしい。
「スピード違反を取り締まれ!」
これが我々の強気の宣戦布告である。

〜TOKYO Trajectory〜

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