戸田和幸氏の解説と試合展開を照合する。
皆さんが注目するサッカー解説者は誰ですか?
現在の日本の解説者では松木安太郎氏やセルジオ越後氏、金田喜稔氏など認知度が高いであろう解説者が何人かいるが、個人的に興味を持っている解説者の一人に戸田和幸氏がいる。
現役時代のクレバーな印象そのままに、解説業でも試合展開をロジカルな視点から分析し、分かりやすい言葉で届けようとする戸田氏の評価はサッカー識者の間でも高い。
(個人的には岩政大樹氏にも注目している。)
S級ライセンスを保持しているため現在の慶應義塾大コーチのみならず、この先の本格的な指導者への転身も考えられる。
そんな戸田氏が3月31日、DAZN「FC東京 vs ガンバ大阪」の解説を担当した。
スタジアム観戦だった私は帰宅してから、ゲーム内容の再確認をすると同時に戸田氏の解説と照合しながら試合を振り返ることに着手した。非常に興味深いトピックとなったので紹介したい。
↓
・前半開始〜
「東京は永井を置いたことで裏に抜けるスピードがあることや、オリヴェイラも身体が強いのでポストも出来るがスピードも備えるので如何に裏を狙えるかに注目したい。」
長谷川監督が今季初先発で起用した永井の起用法についての発言。試合後のインタビューでは監督本人が「5年間率いたチームですから特徴は把握してます。弦太とファビオがどんな選手かわかっていますから。」と古巣の攻略法をチームへ提供したことを明言しており、結果的に永井のファーストディフェンスが機能したとも言える。
「岡崎は攻撃参加に特長がある選手ではないが、後方でのビルドアップの面で仕事ができていると思う。」
派手な仕事ではないが、堅実に相手の攻撃の芽を潰す役割を果たした印象。急激に成長している選手の一人。
・FC東京 1-0 G大阪
「すごくシンプルで高さのあるオリヴェイラに合わせて、永井が裏に飛び出すという狙い通りだったのではないか。東のシュートも良かった。」
守備面では永井の献身性が生きたが、攻撃面でも永井の起用により一貫性のある狙いが生まれた。3節までのディエゴ&前田のコンビでは似ているタイプ同士であったために補完関係が作りにくかったが、今節ではディエゴをターゲットにして永井が背後を狙う意識が高く相手の適応が間に合う前に得点出来たのは大きい。
・FC東京 2-0 G大阪
「体勢としては簡単じゃない。ヘディングの技術の高さが光った。ガンバ側のマークは曖昧でしたね。」
森重の得点能力の高さは誰もが知るところだが、毎年一定数のゴールを重ねているあたりもシュートセンスを感じる。また、Twitterアカウントでも紹介した通りキッカーの小川の駆け引きも含めて見事なセットプレーだった。
・FC東京 2-2 G大阪
「東京の守備はファーストディフェンスが決まっていると明確なので強いが、ラインを越えられると若干立ってしまうところがありますね。」
近年の課題が顕著に表れたシーン。フィッカデンティ監督時代の組織守備の理論が影響している部分もあるだろうが、ファーストディフェンスにいけない場合の東京はズルズルとラインを下げて中盤と間延びしてしまう悪癖がある。最終局面での粘り強さは発揮されれば大きな武器だが、対応しきれずに失点するケースも看過できない。
・FC東京 3-2 G大阪
「オリヴェイラは強いヘディングで、初瀬のマークを外すポジション取りの上手さがあった。」
ディエゴに関しての戸田氏からの評価はいくつか挙がっていたので紹介するが、豪快さやしなやかさを兼ね備えるこの万能型ストライカーの希少価値は高い。
・〜試合終了
「前節の戦い方を踏まえながら、ツートップの積極的なプレッシングで敵陣のボール奪取が機能した。課題は運動量が落ちてファーストディフェンスが行けなくなったときにどうするか。」
「ツートップを越えられた場合の守備は中盤とDFになるので、前半とはまた違ったフェードになってくる。」
積極的なプレッシングを90分間持続することは不可能に近いため、中盤含め悪い時間帯のリスクケアを怠ってはいけないという指摘。
「出だしから多くのエネルギーを使ったのはFC東京のほうだった。競った試合になった中で外国人選手が違いを見せた。」
「オリヴェイラは真面目な選手だと思う。大きいけどスペースを見つけて走るのが上手い。守備でまサボらず、攻撃では違いを出した素晴らしいパフォーマンス。」
・今後の過密日程(14連戦)に関して
「東京のサッカーは陣形がコンパクトで強度が高い。そのスタートは前なのでツートップの組み合わせを変えつつプレッシングの役割を負わせる。スイッチは前線からなので、過密日程でも前線のメンバーを変えていきながら同じサッカーを続けていくのではないでしょうか。」
長谷川監督のサッカーを分析しつつ、今後の過密日程の戦い方を予想。的を得ている。
戸田和幸氏の解説を抜粋しながら試合展開を照合すると、改めて東京の強みと弱みが理解できる。この先の指標にしたいゲームとなった。
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